中小企業診断士 経営コンサルタント 群馬 埼玉 栃木の中小企業診断・支援・コンサルティング 経営革新支援 講演・セミナー
HOME >> 著作・制作物 >> 専門誌原稿 >> サービス品質を高める

サービス品質を高める

最終更新:2008年01月11日 14:59

サービスの品質を高めるために


Q:主に20代~40代の女性を対象とするサービス業を営んでいます。
お客さまからいただくクレームの多くは接客応対のまずさに起因しています。
入社して3年程度で早い者は店長に任命されますが、
彼女たちもいそがしく、部下指導をしている余裕がありません。
本部に教育スタッフを設けるべきか悩んでいます。


A:「本部に教育スタッフを設けるべきか」悩まれているとのことですが、
「教育スタッフ」をもうけるかどうかよりも、
まずは、「より良いサービスを提供する仕組みづくり」が必要かと思われます。
本部に教育スタッフを設け、「仕組みづくり」に取り組んでもらうことも良いでしょう。


「接客応対についてお客さまからクレームが多い」とのこと、
サービス業にとって、大変な問題を抱えていらっしゃいますね。


サービス業では、サービスの質は、それを提供するスタッフに依存します。
たった一人のスタッフが、お客さまにいやな印象を与えたり、
満足いただけない状況をつくれば、
「あのお店はだめだ」「あの企業は感じが悪い」というイメージを与え、
企業全体の信用を失わせてしまいます。


1つの失敗が積み上げた信頼を崩すといっても過言ではないでしょう。


そうした事態を招かないために、スタッフが現場で顧客満足向上のため、
自ら考えて動くことが大切です。
スタッフ自身が、やらされているという風土からは、絶対良いサービスの提供はできません。
スタッフの自主性を尊重したマネジメントと教育を実施する必要があるのです。


そこで、何に取り組んだらいいか、順を追って説明します。


1.方針・目標の明確化


会社の方針、目標が明確化していますか?
ただ単に「接客応対が悪い」「サービスが悪い」といったことでは、
「より良いサービスを提供しよう」という風土は生まれません。
会社の方針、目標として、どれだけ「接客応対」や「提供するサービス」に対して、
こだわっているかを明確化する必要があります。


たとえば、「お客さまに喜ばれるサービスを提供する」
「最高のサービスを提要し、お客さまの満足度を向上させる」
「お客さまに感動してもらうサービスを提供する」
「お客さまからのクレームゼロを目指す」などです。


会社の方針、目標は、事務所に掲示し、ミーティングなどで読み上げたり、
管理職からその意味や注意点を説明したりしてください。
慣れてきたら、スタッフに「方針・目標を実現するために、
どのようなことに気をつけていますか?」などと質問することも良いでしょう。
スタッフ自身が、方針や目標をいつも頭の中におき、
それを実現するために考え、実行する風土づくりを行います。


2.会社が期待するスタッフ 


サービスを提供するスタッフにどのようなことを期待しているのか、
明示しているでしょうか?
現場に携わるスタッフは、業務に追われ、誰もが、
「私は一所懸命働いている」と思っています。
しかし、会社の期待するように働いていなければ、
どんなに頑張っていても、意味がありません。


そこで、「スタッフに期待すること」または「目指すスタッフ像」などを明示して、
資料として渡しておく必要があります。


たとえば、「いつもお客さまに気を配り、お客さまに喜んでもらえるように考えている」
「お客さまの目をみて、最高の笑顔で感謝を込めて、ありがとうございましたと挨拶をする」
「いつでもお客さまが話しかけられるように、作業しているときも、軽く待機の笑顔をしている」
「より良いサービスを提供するには、どうしたら良いかをいつも考えている」
「お客さまに喜ばれる工夫、サービス提供の改善を提案できる」など、わかりやすいものにします。


こうしたスタッフに期待していることを「身だしなみ」「挨拶」「業務」「教育」など
必要な項目にわけて明示しておくと良いでしょう。

  
3.サービスの品質を向上させるための仕組みづくり

 
提供するサービスについて必要なマニュアルを準備します。
マニュアルは、単なる手順書ではなく、サービスを提供するにあたって
「留意すること」「お客さまに気を配ること」などを盛り込みます。
単なるマニュアルではなく、お客さまへの気配りをいれることが大切です。
マニュアルが準備できたら、サービスを標準化するために研修を行ってください。


業務を休むことができず、全体研修ができなくてもかまいません。
時間を調整し、数人ずつ実施してもかまいませんし、
ミーティングの際、少しずつ、マニュアルを徹底していくことでも良いでしょう。
大切なことは、スタッフ全員がマニュアルを理解し、実行できるようになることです。


次に、そのマニュアルを基本とし、スタッフが「こうやったらお客様に喜ばれた」
「こうやったら良いサービスを提供できた」「一声かけたら、お客さまから笑顔をもらえた」など、
現場で気づいたこと、感じたことをカードに記入してもらいます。
お客さまからの要望やクレームなどもカードに記入してもらい、
それを責任者あてに提出してもらいます。
責任者とは、御社の場合、本部の教育スタッフまたは店長になるでしょう。
そして責任者が、「これは全員で取り組んだ方がいい」と思ったものをマニュアルに追加していくのです。


クレームは赤、要望・要求は緑、満足は白とカードの色をかえている企業もありますが、
色にこだわることはありません。
スタッフが提案しやすいもの、記入しやすいものがいいでしょう。
全スタッフが顧客の声の窓口として顧客との会話から得られた情報を素早くキャッチし、
問題は即日改善、サービス向上を組織的活動として確立していくのです。


標準化されたサービスプロセスの内容を継続的に維持向上させる仕組みをつくることが大切です。
こうした仕組みを確立できれば、スタッフは、お客様の満足度を向上するためどうしたらいいかを
考えるようになり、お客様が喜んでいるかどうか、お客様の行動、
反応を固唾をのんで見守るようになるのです。


カードによる提案制度を続けていきますと必ずカードの提出枚数が少なくなる、
提出がなくなることがおきます。
スタッフがマンネリ化し、提案をしなくなるのです。
私も、中小企業支援の現場で、こういった事態に何度も遭遇しました。
提案が少なくなったとしても、「やっても無駄だ」などと思ってはいけません。
提案数はすくなくなるだろうということは、想定の範囲内のできごとです。
そこで「待ってました」と言わんばかりに
「提案カードの枚数をたくさん出したスタッフ」を表彰したり、
「良い提案をしたスタッフ」を表彰したり、
マンネリ化を防ぐための方策を講じましょう。
「始めたことはやり抜くぞ」という強い信念を持つことが大切ですね。


<流れ>


マニュアルを作成する
     ↓
お客さまに喜ばれたこと、お客さまの要望・クレーム、
より良いサービスを提供するための工夫・改善、
現場で気づいたことなどカードに記入し、提出
     ↓
カードの内容を評価する
     ↓
全員で取り組むべきことをマニュアルに追加する




中小企業診断士 茂木 三枝
2007年1月作成



Twitterでつぶやく